強烈な黄色の建物に引き止められて
サン・石垣を出発し、新しい宿へ向かって車を走らせていたときのこと。
右手には海、左手には畑と山。
石垣島らしい景色が流れていく中、突然、視界に強烈な色が飛び込んできました。
空の青と山の深い緑。
その間に、ポツンと立つ鮮やかな黄色の建物。
あまりの存在感に、思わず車を止めます。

建物全体から漂う、なにやらただならぬオーラ。
あらためて店舗前の駐車場に車を止め、入口から中を覗いてみると――これが、なかなかにカオスな面立ち。

フルーツ屋さん……だよね?
「す、すいませ~ん」
少し腰が引けたまま、店の奥へ声を投げかけると、店主らしき方がぬっと姿を現します。
低めの声に、えんじ色のエプロン。
腕には太めの腕時計がギラリ。
これは、なかなか手ごわそうな……。
「すいません。そこに書いてある100%ジュースの、パインが欲しいんですが……」

「はいはい」

最初は少しとっつきにくそうな印象。
ところが話してみると、これがものすごく朗らかで明るいおばぁだったんです(笑)。
サービスのフルーツが止まらない
「八重山のパインは世界一よ」
八重山のパインの話や、おいしいマンゴーを選ぶときの話など、次から次へと面白い話が飛び出します。
そして話の合間には、
「これも食べてみんさい」
と、サービスのフルーツがすっと差し出されます。

さらにもうひとつ。

これが、めちゃめちゃおいしい。
「おばぁ、これうまいね。これちょうだい!」
「こっちもめちゃくちゃおいしいじゃん。これも!」
そんな調子で、気がつけば手元はフルーツ盛りだくさん。
新しい宿へ向かう途中だったはずが、予定外の大収穫です(笑)。
言葉が通じなくても成立する、おばぁのコミュニケーション
滞在中、海外から来たらしいカップルも店に入ってきました。
どうやら日本語は話せない様子。
するとおばぁは、名刺代わりとでもいうように、すかさずサービスのフルーツを差し出します。
突然のことに「え?」と戸惑うカップル。
「サービス、サービス!」
おばぁはそう言いながら、差し出した手をさらにグイッと前へ。
それでも状況をつかめず、少しタジタジになる二人。
その様子を見たおばぁは、
「サービスなんだから、金なんかいらんよ。食べてみればええんじゃ、ガハハハハ!」
となぜかこちらに向かって説明してきます。
ようやく意味を理解したのか、カップルが差し出されたフルーツを口へ。
次の瞬間、目を真ん丸にして「おいしい!」という表情を見せます。
そこから始まる、おばぁの怒涛の日本語トーク。
相手はほとんど日本語が分からないはずなのに、身振り手振りと表情で、なぜかしっかり会話が成立しているように見えました。
言葉が通じるかどうかなんて、おばぁにはあまり関係がないのかもしれません(笑)。
外観以上に強烈で、優しいおばぁ
買い物を終えたあと、最後にはおばぁと一緒に記念写真も撮ってもらうことに。

最初は少し腰が引けていたはずなのに、店を出るころには、すっかりおばぁの明るさに引き込まれていました。
強烈な黄色の外観に引き止められ、ふらりと立ち寄ったフルーツ屋さん。
そこで出会ったのは、外観以上に強烈で、朗らかで、どこまでも優しいおばぁ。
旅先では、予定外に立ち寄った場所ほど、あとになって強く記憶に残ることがあります。
このフルーツ屋さんとおばぁとの出会いも、わが家にとって、そんな石垣島の思い出のひとつです。
八重山のパインは世界一

ここでいただいたパインジュースは、まさに世界一と言いたくなるおいしさでした♪
島バナナも、自然な甘さともっちりした食感。
後にも先にもここを超える島バナナに出会えていません。
おばぁとの再会も含めて、いつかまた立ち寄りたい場所です。
近くを通る機会があれば、ぜひ立ち寄ってみてください♪
南国フルーツも、おばぁも、激オススメです!
